お役立ちコラム
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アスベストのレベルは何が違う? | 各レベルの処理と手続きを解説
2023年02月24日お役立ちコラム
有害物質としてメジャーになった「アスベスト」ですが、2000年代までは建材として活用していました。
ですが、アスベスト含有建材の使用がNGとなりました。
アスベストは人体に重大な被害を引き起こすため、解体前に有害物質を確認する事前調査が必要です。
万が一、使用していたときは、法律に則って対応しなければなりません。
本記事ではアスベストレベルの違いから、処理の方法・手続きまで詳しく解説します。
建物を解体する予定の方には参考となる記事です。ぜひ最後まで記事を読んでください。
アスベストレベルは健康被害の影響度で決まる
アスベストのレベルは、有害物質が人体におよぼす影響度で決まります。
レベルは1〜3まであり、レベル1が最も危ない状態です。
また、アスベストのレベルによって、労働基準監督署・都道府県庁に提出する書類や処理の方法が大きく異なります。
レベルごとの処理方法・提出書類は次項で紹介します。
アスベストレベルの分類方法
アスベストのレベルは、健康被害の影響度で決まると先述しました。
ここでは、各レベルの違いを見ていきましょう。
健康被害
リスク |
発じん性 | 建材の種類 | 労働基準監督署
への提出書類 |
都道府県庁
への提出書類 |
|
レベル1 | 非常に
高い |
非常に
高い |
石綿含有
吹付け材 |
工事計画届
建物解体等作業届 事前調査結果 |
特定粉塵排出等作業届
建設リサイクル法の事前届 |
レベル2 | 高 | 高 | 石綿含有保温剤
耐火被覆材 断熱材など |
工事計画届
建物解体等作業届 事前調査結果 |
特定粉塵排出等作業届
建設リサイクル法の事前届 |
レベル3 | 低 | 低 | 成形板など | 事前調査結果 | 建設リサイクル法の事前届 |
レベル3 低 低 成形板など 事前調査結果 建設リサイクル法の事前届
レベル3は健康被害と発じん性が「低」ですが、有害物質に違いはありません。
そのため、撤去業者は慎重に作業する必要があります。
建物を壊す前には事前調査が必要
建物を壊す前には事前調査が必要です。
アスベスト含有建材の有無を確認し、処理方法を決めるからです。
事前調査は主に下記の資格者が実施します。
● 建築物石綿含有建材調査者
● 社団法人日本アスベスト調査診断協会登録者
次項では事前調査の方法について、解説します。
書面調査
設計図書・依頼者・施工業者から可能な限り情報収集します。
集めた情報から、アスベストの使用があるかを推測します。
目視調査
書面調査で集めた情報をもとに、現地で目視確認を実施します。
設計図書と異なる箇所やリフォームで新たに追加した建材がないか、専門家を活用した調査です。
分析調査
書面・目視でもアスベストの使用がわからないときは、建材を採取のうえ、分析します。
目視だけでは見落とす可能性があるため、採取と分析の実施で確実な結果が導きだせます。
すべての調査が終了次第、報告書を作成のうえ労働基準監督署へ提出し完了です。
アスベストの危険性に応じた処理
事前調査でアスベストの建材が見つかった場合、危険性に応じた処理をおこないます。
処理方法が異なるのは危険性の違いです。
1つずつ解説していきます。
危険性:非常に高い
危険性が非常に高いアスベストの建材は『石綿含有吹付け材』です。
上記の建材を撤去するには、隔離工法を用いて作業します。
隔離工法の作業手順は下記の通りです。
1. 作業場所を養生シートで覆う
2. 集じん装置を使って換気する
3. 撤去作業後、集じん装置を24時間稼働
4. 作業場の残留アスベストを取り除く
危険性が高い作業のため、作業者も防護服を着用して処理をおこないます。
危険性:高い
危険性の高いアスベストは、石綿を含んだ耐火被覆材・保温材断熱材などの建材です。
危険性の高いアスベストも「危険性が非常に高い」と同様、隔離工法が必要になります。
危険性:低
危険性の低いアスベストは、上記に該当しない建材です。
ビルのタイルや建築物の天井や壁で使われています。
危険性の低い建材については防塵シートの養生が必要です。建物の高さ以上が必須です。
防塵シートの設置ができたら、水をまいてアスベストを濡らします。
そのあと、原形のまま撤去します。
アスベストの撤去費用相場
アスベストの撤去費用は危険性によって金額が大きく変わります。
撤去にかかる設備や機材に違いがあるからです。
ここでは撤去費用の相場を一覧で紹介します。
危険性 | 撤去費用 |
非常に高い | 15,000円~85,000円 |
高い | 10,000円~60,000円 |
低い | 3,000円~10,000円 |
※費用は(1平方メートルあたり)
費用はあくまで目安です。
業者ごとで金額に差があるので注意してください。
アスベストの撤去費用を安くする方法
撤去費用を少しでも安くしたいと誰もが思うところです。
ここでは少しでも得になる2つの方法を紹介します。
補助金を活用
撤去費用を安くするために補助金制度を利用しましょう。
補助金を活用すれば費用負担を大きく減らせるからです。
例えば、東京都練馬区の助成金は以下の通りです。
調査費用の助成:調査費用の50%(戸建ての場合は限度額5万円)
撤去作業の助成:工事費用の2/3(戸建ての場合は限度額200万円)
助成金は自治体によって助成の範囲が異なります。
かならず前もって調べておきましょう。
相見積もりを取り寄せる
複数の業者から見積もりを取れば、撤去費用の相場がわかります。
2〜3社の見積もりから一番安価な業者を選べば支出も減らせるでしょう。
アスベスト作業時のトラブル【実例】
アスベストの撤去作業で業者とトラブルになるケースも少なくありません。
ここでは、実際にあったトラブルを紹介します。
役所に届出をしないで作業を実施
役所に届出をしないで作業を実施した実例を見てみましょう。
● 撤去作業を依頼した業者から見積書が届く
● 解体費用と撤去作業の料金を確認のうえ、業者に依頼
● 撤去作業終了後、業者がアスベストの件を役所に未報告が発覚
● 撤去作業もずさんなものだった
業者を選ぶときはホームページや口コミも確認し、きちんと対応してくれるところを選択しましょう。
まとめ
今回はアスベストのレベルの違い、各レベルの処理と手続きを解説しました。
健康被害のリスクがあるアスベストは、法律にそって正しく対処しなければなりません。
現在では補助金制度もあるので、これから建物を解体する予定の方は、本記事を参考に適切に対応してください。